*少々ユヴォですが無理やりな性的表現が入ります。大丈夫な方だけどうぞ。








『ねえ、好き?』

・・・好き。

『愛してる?』



・・・あい、してる・・。

『じゃあ、結婚・・できる?』



・・・結婚・・・・・・けっこん?



『そう、貴方を一生伴侶にします。ってそれだけでいいの。』



・・・一生って・・なんで・・俺、まだ16だよ?



『もう成人じゃない。』



・・そう、かもしれないけど・・・俺は・・・まだそんなつもりじゃ・・。



『もうアイツを開放してやってくれ』



なんだよ。・・・俺が縛ってるって言うのかよ。



『陛下、お願いですから』

なんで、アンタまで・・・。

俺は俺は、このままがいいんだ・・・このまま・・・!!

『このままって何!?なんなの!?』



もうやめてくれ・・・!!なんで・・!なんで・・・っ








虹色時計_______1






「・・・・リっ」



「ユーリ・・!」



頭の奥で聞きなれたアルトの叫ぶ声が聞こえる。
肩を思いっきり揺さぶられ、俺は現実世界に引き戻された。

「ヴォ、ルフ・・?」

視界をうっすらと開けると綺麗なエメラルド色の瞳とかち合う。

「うなされていたぞ、大丈夫か?」

ああ、そっか。夢・・・・か。



口元を押さえて起き上がった俺をヴォルフラムが心配そうに覗き込んでくる。



「気分が悪いのか?今すぐギーゼラを・・」

「・・・いや、いい。」

部屋を出て行こうとする腕を捕まえて、隣に腰を下ろさせる。



いつもは俺よりよっぽど起きるのが遅い
こいつに起こされるなんて、初めてじゃないだろうか。

心配をかけるのは悪いとは思いつつも俺は震える手を止めることができなかった。





「・・・・大丈夫だ。」

・・あ・・。

「大丈夫・・・。大丈夫だから。」

首に掛かる吐息が暖かい。
背中にまわされた腕にそっと撫でられて、ふいに俺は泣きたくなった。

「ヴォル・・フラム・・・・ヴォルフ・・・ヴォルフっ。」



「大丈夫だ、ユーリ。それは夢だ。現実じゃない。夢なんだ。」



ぽんぽんっと優しくあやされる。
いつの間にか胸元に縋るように顔を埋めていた。



ああ、なんでこいつは・・・・。





「・・お前は、聞かないんだな。」



「・・・?何がだ。」



「だから・・その色々と・・・。」



「・・・??よく分からんぞ、ユーリ。言いたいことははっきりと言え。」

俺の背に腕が回されていなければ、ふん、
といつも通り踏ん反り返ってそうなもの言いだ。



でも、ホントは少し、いつもより易しめ。
俺のこと気遣ってくれてんのな。



わがままで、いじっぱりで素直じゃないって言われてるけど・・・・・



コンコン、

「陛下?おはようございます。トレーニングの時間ですが・・・」

あーコンラッドだ。朝練のことなんかすっかり忘れてた・・。
俺たちはあわてて身体を離したが、ヴォルフの顔が少し名残惜しいような表情をしてたのは気のせいだろうか?
そんな顔されたらこっちが離れがたくなるってーの。

失礼します。と入ってきたコンラートに今日は朝のジョギングはなし。と朝食もここで取るからと伝えて部屋を後にしてもらった。

「朝食だったら、僕が取りに・・」
と部屋を出ようとするヴォルフの腕を取り無理やり引き止める。
「だめ、お前は今日ずっと俺の傍にいること。魔王命令。」
こんな時ばっかり魔王命令使うのは卑怯かな?と思ったが
顔を赤くしながらしぶしぶ俺の隣に座りなおしたこいつを見てると それもたまにはいいかと思えた。
ヴォルフラムがコンラッドに俺の体調が悪いと伝え今日の執務も変わってもらうこととなり

あーまたグウェンに叱られちゃうかなーと思いつつも、今日はなんだか動けそうになかった。

「ユーリ、大丈夫か?」

「あ、・・うん。」



しばらくして外からメイドさんの声が聞こえる。どうやら朝食が届いたようだが、取りに行こうとするヴォルフを後ろから抱きしめて止めた。



「・・・・ユ、ユーリ・・・。」

「・・ん〜?」
ヴォルフラムが軽く身じろぐ。
「・・このままでは取りに行けないぞ。」
「ん、・・・うん。」

「だったら、」

まだ何か言おうとするヴォルフの声を遮って俺は廊下に聞こえるように声をかけた。
そこに置いといて、という言葉に、はい、と控えめな返事と遠のく足音。

よし、これで誰にも邪魔されない。

腕の中の身体をさらに抱き寄せ、ひざの間に入れる。
襟元に手をかけるとヴォルフラムの身体がびくりと震えた。

「・・ヴォルフは俺から離れたい?」

「そ、そんなことはない! ・・ないが・・お前に触れられると、どうしていいか・・。」



聞きながらヴォルフの胸元を両手で欠き抱くように這わせていく。



シャツの中に手を入れ素肌に直接触れると、俺の手の冷たさにヴォルフが身体をよじった。

「ユ・・ユーりっ。」

「・・・・・・・。」



「・・メ・・・・だ・・・こんなっ」



「・・・・・・・。」



けど俺は止めない。

なんだ・・・。



なんだろ・・・・これ。





「・・・・ヤメっ・・。」



ヴォルフを・・・・。





「お前と・・・っこんなっ」





めちゃくちゃに





壊したいって







「こんな、・・・・何・・?」

びくっとヴォルフラムが震える。



冷たい声だった。
良くないことだって分かってる。こんなことしたって意味はないんだって。
ヴォルフを・・・自分を、傷つけるだけなのに。



腰に回してた腕をゆっくりと相手の胸に這わせていく。突起を掴むとふるりと震える身体。







いきなりすぎたんだ。



あまりにも突然すぎて頭がついていかなかった。

ユーリにこうされる事が
こうなることが

望んでいたことなはずなのに・・。







『決着?』







『そうだ、婚約者なのだから当然決着を・・!』

『なんだよ、それ。そもそも、俺達男どおしだろ。
 ・・・・お前、俺とどうなりたいんだよ。・・どうしたいんだよ。』





決着・・・?





決着って何だっけ?





そもそも俺ヴォルフとどうしたいんだっけ。





こいつと





どうなりたいんだ・・・?





婚約だって・・・・。





もう、ずっと・・・・。





************





「・・ひゃっ・・あぁっ。」

「・・・っ。」

俺は無理やりヴォルフの中に入った。

中はすっごくきつくてせまくて

ヴォルフの身体に負担をかけてるって分かってても止められなかった。



そのままゆっくりと腰を揺らすとヴォルフから呻き声が漏れる。

「・・・っう・・・くっ・・。」

「・・・・・・はっ。」

「・・・ゆーっ・・・!」

「・・・・っ・・。」

顔を歪めて痛みに耐えながら必死にシーツを握ってる。

なぜだかそれが許せなくて無理やり俺の背に回させた。

「・・っ・・ゆー・・りっ・・?」



「爪・・立てていいから・・。」





その後はひたすらヴォルフの中を突き上げた。

声あげながら必死にしがみつくヴォルフにうっすらやりきれない、気持ちと
満足してる自分がいるのを不思議に感じた。





**********







「・・・・っ!!なんでっ・・!!なんでっ抵抗しねえんだよっ・・・!!」

すべてを吐き出し、ぐったりとヴォルフが身を沈めてる中

俺は顔を押させて声を荒げていた。



こんなことして、サイテーなのはどっちだよ、と思いながらも

何でこんなことしてしまったのか検討のつかない

認めることが怖かった俺はこうやって、何もかもヴォルフに押し付けることしかできなかった。





「もっと・・!!本当はこんなの嫌だって!ヤメロとか!
 俺のこと拒んで抵抗すれば良かっただろう!?」

「叫べよ!誰かに呼んでっっ助けてもらうなり、何でもできたはずだろう・・!?」

もう言ってることすら、支離滅裂だ。



なんで、なんでお前は・・何もっしねぇんだよ・・っ。と最後途切れ途切れになった声にボフッと枕を何かを投げつけれた。

顔面直撃、にしては痛くなかったのでそれが枕だったと分かったのはヴォルフが声をあげてからだった。

「・・・っ!!僕が・・・っ僕がお前を拒むはず、ないじゃないかっっ!!」



見れば、涙をめいっぱい溜めてそれでも漏らさないように必死に耐えていた。



「・・・そんなことも・・分からない・・の・・か・・?」



泣いてる・・・。反射的にそう思った俺は、それでも何もできなかった。

ただ唖然と前だけをみつめる。

何してんだよ。俺。

こんなこと望んでたのかよ。

だって、「ダメなんだよ。ヴォルフ・・・。」

ダメなんだ・・・。ひたすら、ダメだと繰り返す俺に







「・・・・もう、いい。」



「・・・え?」

ぽつりと吐かれた言葉に唖然と聞き返す。



「・・っ・・!もう、ユーリの気持ちは僕にないと分かったっ。」



「・・ヴォルっ。」

「・・・それでもっ・・・それでもっ・・っ僕は・・ユーリがっ・・・好きで・・っ・・・。

 好き・・っなのに・・っこんなっ・・っこんなへなちょこっ・・・ずっと好き・・・っ・。うっ・・くっ・・。」





今度こそ本気で泣き出した彼を抱きしめて、漏れる涙をぬぐって、顔中にキスを落として、慰めてやりたい・・・?

のに・・・。



俺、何で身体動かねえんだろ。

何、してんだろ・・・。俺。





その時、張り詰めていた意識が、すっと、解けていった。



意識が、遠のく・・。





「ならば、余が、・・・慰めてやろう。」







運命の針は動き出した。









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____________________ 虹色時計。タイトルのわりに内容シリアスです、すみません。

本当は無理やりしちゃった後に「あー俺何してんだよ、ごめん、ごめんなヴォルフ。」みたいなありきたりな、陛下自覚ネタでもいいかな?とも思ったんですが、
それじゃあ私が許せねえ。とか思って。(笑

ユーリにはもうちょっとヴォルフの痛みとか辛さ分からせたいです。
と続きます・・!

まさかの上様登場(笑)

まあユヴォでハッピーエンドだと思います。

一番書きたかったのは、「僕がお前を拒むはずないじゃないか!」
三男は例えユーリに何されてもユーリのこと大好きなんですよね!

ここまで読んでくださりありがとうございました!

2011 4/26