「ダメだーーーー!!!フォンビーレフェルト卿とウェラー卿は 箱に近づけてはいけない!!!!」

村田が必死に叫ぶ、
ゴーッッという風の音ともに嫌な感じがもやもやと湧き上がってくる。
地から這うような地響きとそれを食い止めようと叫び続ける声。

その横でサラレギーは目を輝かせながらその先の彼らを見つめていた。

(そうか・・・そうだったのか・・!)

瞬きを一切忘れるほど、興奮と期待で胸をときめかせる。



ずっと捜し求めてきたもの。

そうか・・・彼が・・・。



「彼が・・・・鍵・・・!」








水中華_______________






トン・・・と背中を押された。

その感触は覚えてる。何度も何度も彼は自分の背中を押してくれた。

自分が落ち込んでいる時、迷っている時。
彼はまっすぐに俺を支えてくれる。
俺が求めてる答えを導いてくれる。



「行け。」彼のその瞳がそう言っていた。



嫌だ・・・まだ・・!



まだ俺ははこの世界に・・・・・

・・・・・お前のそばにいたいのに・・・!

うずまく濁流はけして俺を離してはくれなかった。

行ってこい、そしてお前の傷ついた心を癒してこい。

彼は優しい笑みで送り出してくれていたが、
その瞳に寂しさが混じってることに、その時の俺は気づけなかった。





「君!!なんてことをするんだ!臣下が王を海に突き落とすなんて!!」

サラレギーが血相を変えて自分の隣飛び込んできた。
落ちたユーリを目で追い、心配そうに目を凝らす。

「ああ、ユーリなんてこと。・・・お前達いますぐユーリを・・!」

「必要ない。」

兵に支持を出そうとするサラレギーにたいし、ヴォルフラムは遮るように言葉を発した。

「・・・どういうことだい?」

「言葉とおりだ。ユーリはもうここにはいない。」

「ならばどこへ行ったと言うの?」

「故郷へ帰っただけだ。これ以上お前に話す義務はない。」

ヴォルフラムはは種を返しその場から離れようとする。
しかしサラレギーは声を濁しながらその背を止めた。

「・・・待って。君、いくらなんでも一国の王に対し、その態度はないんじゃない?」

「・・・・。」

「そういえば君はユーリに対してもそんな態度だったね。」

「魔王の婚約者だからって何でも許されると思ったら大間違いだよ。」

サラレギーがバッと右手を上げた。とたんに小シマロンの兵達がヴォルフラムを取り囲む。



「何のつもりだ。」

「君を捕獲する。・・・さあ、ユーリはどうするだろうね?助けに来るかな?」

クスクスと笑いながら、さぞ楽しそうにヴォルフラムをみつめていた。

まるで新しいおもちゃを手に入れた子供ように。





さあ、これで駒は揃った。

















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